
今回紹介する本は、『鏡の国のアリス』です。
ルイス・キャロル による、『不思議の国のアリス』の続編にあたる作品。
鏡の向こうに広がる世界を舞台に、アリスは現実とは異なるルールの中を進んでいきます。
一見すると子ども向けの幻想的な物語ですが、言葉遊びや論理のずれが随所にあり、独特の読みにくさがあります。
あらすじ
ある日アリスは、鏡の中へと入り込み、左右が反転した不思議な世界へ迷い込みます。そこでは花が話し、時間や距離の感覚も現実とは異なっています。

アリスはその世界で、チェスの駒のひとつ「ポーン」として配置され、一マスずつ進みながらさまざまな人物と出会っていきます。
ハンプティ・ダンプティや双子の兄弟、赤の女王などとの奇妙なやり取りを重ねる中で、言葉や意味、ルールそのものが揺らいでいきます。
やがてアリスは盤の端へとたどり着き、物語は意外な形で幕を閉じます。
『鏡の国のアリス』という少し難しい物語
鏡の国のアリス は、鏡の向こうに広がる奇妙な世界を舞台にした物語。
アリスは現実とは異なるルールの中で、不思議な存在たちと出会いながら進んでいきます。
ただ、読んでいてまず感じるのは「少しややこしい」という印象かもしれません。
言葉遊びや論理のズレが多く、出来事のつながりも直感的には理解しにくい場面があります。
たとえば、鏡の世界では、アリスはさまざまな奇妙な人物と出会います。
その中のひとりが、壁の上に座るハンプティ・ダンプティです。

彼は、「言葉の意味は自分が決める」と言わんばかりに、造語や詩を“解釈”し、言葉そのものを支配しようとします。
また、庭では花々が話し、「まっすぐ進むほど遠ざかる」という世界のルールが語られます。
こうした違和感の積み重ねが、この作品の読みにくさであり、同時に魅力でもあります。
実はチェスでできている物語
この物語の特徴は、チェスの構造をもとに作られている点にあります。
チェスは8×8、合計64マスの盤の上で行われるゲームで、駒を一手ずつ動かしながら進行します。
『鏡の国のアリス』でも、アリスはこの盤上に置かれた一つの駒として動いていきます。

アリスは最初、「ポーン(歩)」としてスタートします。
ポーンは前に1マスずつしか進めない最も弱い駒ですが、盤の端まで到達すると「クイーン」に昇格することができます。
物語もこれと同じように進みます。
アリスは一つの場所から次の場所へと段階的に進み、その都度キャラクターと出会いながら、最終的に「女王」になります。
この作品は、
ポーンがクイーンになるまでの過程=物語
として設計されています。
ややこしさの裏にあるもの
この構造を知ると、最初に感じた「ややこしさ」が少し違って見えてきます。
出来事の連続に見えたものが、実はチェスの一手一手に対応しており、アリスの移動や出会いがすべて“盤上の動き”として意味を持っていると分かるからです。
また、言葉遊びや論理のズレも、単なるナンセンスではなく、「ルールが異なる世界」を表現するための仕掛けとして機能しています。
有名な【不思議の国のアリス】に比べると、読む人は少ないかもしれません。
正直言うととっつきにくく読みづらい。
けれど、その奥にきちんと設計された“ゲームのような物語”がある。
そういう視点で読むと、この作品はぐっと魅かれるかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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